半跏趺坐 -hankafuza-

ソウルジェムの濁りきったアラサー第二童貞がココロの平穏を目指す話

私はひとり苛立つ

ゆで卵にはコツがある。

 

沸騰したお湯に入れる前に、お尻に画鋲で穴を開けておく。

こうすることで、中の空気が抜け、薄皮が綺麗に剥がれる。

つるんとしたゆで卵を食べることができる。

 

しかし、それでも3回に1回は失敗する。

穴を開けるのに使っているのは画鋲ではなく

プラモデル用のケガキ針なので、

あまり深く刺すと白身が漏れ出てきてしまう。

そのため、おそるおそる穴を開けると、

かえって中の薄皮にまで到達せずに

ボロボロのゆで卵になってしまうことがある。

 

冷やした後に皮を剥き、そのように結果が芳しくなかったとき、

私はひとり苛立つ。

 

たとえば一ヶ月以上更新していないこのブログで

たまには何か書くかとPCを起動させてみたが、

一向に「記事を書く」のボタンが見つからない。

何度ログインしても、「ログイン」のボタンが消えない。

 

私はひとり苛立つ。

 

結果としてはSafariCookie設定だったようで、

ヘルプに従って操作することでいま

キーボードでこれを打ち込むことができている。

 

 

「想定外の結果」かつ「好ましくない結果」、

これが揃うと、非常にイライラしてくる。

 

 

 だが不愉快なことのすべてに対してではない。

 

 

電車が遅れる。

案内のアナウンスが流れる。

ホームでも聞こえた内容は、遅れた電車が到着し、

乗車できた後でも同じ内容にお詫びも加えて流れる。

 

だが考える。

遅延の原因のうち、鉄道運行会社に非がある割合は果たしてどの程度なのか。

 

 

飲食店で、頼んだものがいつまでも出てこないとする。

オーダー漏れか?忙しいからか?

スタッフの様子を見て判断する。

もし忙しそうなら、自分の時計で決める。

長針が6に来たら声をかけて確認しよう。

このあと用事もあるから、もし調理が始まる前ならキャンセルしてもらおう。

 

そう判断できる。

ここは言葉の通じない外国ではない、

そこまで難しいことではない。

 

 

事象を共有できる人間がいるかいないかによって、

私の受け取り方は大きく変わるようだ。

それがサービスを提供する側、受ける側と分かれている場合でも、

同じ立場で出来事を受け取る場合でも、

人間の匂い、とでも呼べばいいのだろうか、

その匂いが感じられる場所では、さほど私の気分が揺れることはない。

 

 

たとえば皿を洗って水切りかごに立てかけていくとき、

思い描く角度で器が静止してくれずに

大きく音を立てて崩れるとき、

 

私はひとり、大きく苛立つ。