半跏趺坐 -hankafuza-

ソウルジェムの濁りきったアラサー第二童貞がココロの平穏を目指す話

怨憎会苦

苦しい

苦しくてたまらない

 

毎日、理性的に表面上はただ穏やかに

穏やかさを装うことの疲労と屈辱

本当はぶっ壊したい

叫んで

椅子を投げて

締め上げて

皮膚を切り裂き

踏み潰したい

 

仮にAとしよう

Aは女性である

 

Aと私は共に過ごさねばならない

クラスメイトや同僚といった、それくらいの距離感だ

毎日顔を合わせる

 

私とAはかつて付き合っていた

笑えることに、ほんの一週間程度の話だが

私は年齢の割に恋愛経験が希薄だ

何が正しいのかわからなかった

今回、最初に好意らしきものを向けてきたのは向こうからだった

少なくともまともそうに見える女性から好意を寄せられることなど

今まで私にはなかった

舞い上がってしまった

まんざらでもなかったからだ

 

だが、結局彼女は私が望んだような人ではなかった

結果として私が彼女を拒絶した形にはなる

だが、言葉には細心の注意は払った

 

数日後、彼女の態度は急変した

私を虫けらのように扱った

廊下ですれ違った挨拶の低い声のトーンだとか、

どうしても用があり話しかけなければならなかったときとかだ

 

私は他人から明確な敵意を向けられたことなどなかった

只々平穏に生きることだけを望んだはずだった

 

そのためにこれまでがあり、今があったはずだった

全てが覆り裏切られた

 

今は、そのAとほんの一週間、付き合う前に数人で出かけた時とか

祭りを歩いたこととか

話したこと、その時の相手のそぶりや笑った顔だとか

まだ汚れていない光景の記憶が

 

毎日の中で、現実にさらされる時

毎日の中で奴が視界に入るたび

記憶が爆発的に膨れ上がり

刺さり噛みつき這いずってのたうち回り

 

そのたび私はかぶりを振って脳内の忌まわしい映像を振り払う

そんなことが1日の中で何度もある

 

それと付随して、失ったあたたかな人間関係もいくつかある

私に落ち度があったこともあるだろう

だが、そのどれもが実感としてはことごとく理不尽なものばかりだ

 

そんな私のこの苦しみに

共感してくれる者は一人もいない

わかってくれる話し相手もいない

 

訳あって今いるこの場所を離れることだけは

何があっても無理なので

ずっとずっとこの状況が緩和するあと数ヶ月

耐えるしかないのだろう

 

地獄 って

ここより苦しいのかなあ

今も十分

地獄なんですけどね